こんにちは、ジムリンです!
前回、工場全体の課題を整理した結果、工場長にタスクが集中していることが判明しました。
そこで改善を促すために、会議で「工場長がボトルネックです!」と発表したところ、工場長から激怒されてしまったんです(T-T)
ボクは、コーさんにヒントをもらいながら、ボトルネックを特定したあとに「どう改善すればいいのか」について考えました。
今回は、TOC理論における「ボトルネックの本領を発揮させる」という考え方と、ボクが工場長のために何ができるか考えたプロセスをご紹介します!
目次
工場長にタスクが集中!どうすれば改善できる?
工場長がボトルネックになっているのは、営業からの進捗確認、現場からの判断依頼、購買からの在庫確認、社長からの納期調整の相談……などのタスクが集中しているからです。
あらゆる問い合わせや依頼が工場長に集中しており、その負担は明らかに限界を超えていました。
ボクは「工場長がボトルネックです」と伝えて改善策を話し合おうとしましたが、工場長は顔を真っ赤にして激怒(T-T)
「俺がボトルネックだと!?ふざけるな!」
その怒号が今も耳に残っています。
正直、悔しかったです。
工場をよくするために頑張ったのに、なぜ怒られなきゃいけないんだろうって。
でも同時に、ボクは強く思いました。
「工場長の負担を軽くしないと、工場全体が回らない!」
この状況を、なんとかしなければ……。
改善の第一歩は「ボトルネックの本領を発揮させる」こと!
悩んでいるボクに、コーさんが声をかけてくれました。
ジムリン、落ち込んでいても仕方ないよ。
次の一手を考えよう!
でも、コーさん……。
ボク、どうしたらいいのかわかりません。
工場長もすごく怒ってるし、何もしないほうがいいのかも……(T-T)
ボトルネックを見つけたら「本領を発揮させる」のが次の一手だよ!
工場長に本来の力を出してもらうってことですか?
そうそう、問題は工場長自身じゃなくて、工場長にタスクが集中していることだよね?
工場長は本来集中すべきタスクに集中できていない、つまり本領が発揮できていないってことだよね。
なるほど……。
よく「ボトルネックを解消しよう!」なんていうんだけど、それって「ボトルネックを排除しよう」ってニュアンスに聞こえない?
だから、本領を発揮させるっていう言い方にしてみたよ。
た、たしかに。
もしかして工場長はそれで怒ったのかな。
そうかもしれないね!
前に工場のボトルネックは人や設備がほとんどって言ったけど、これを排除するのは違うよね。
はい……、だから負担を軽くしたいと思って……。
仕事が集まる工場長は希少リソースで、なくてはならない存在なんだ。
工場長を責めるのではなく、工場長が本来やるべき仕事に集中できるよう環境を整えることが大事だよね。
コーさんの言葉に、ボクは気づきました。
ボクは工場長を責めてしまったんだ。
本当は、工場長に寄り添って本領を発揮できるようにサポートすることがボクの役割なのに。
みんなの前で「工場長がボトルネックです!」なんて……。
ボク、長年工場を支えてきた工場長になんて失礼なことを言ってしまったんだろう。
すごく申し訳ないし、そんなことに気づかずはしゃいじゃって恥ずかしい気持ちだし、泣きそうです(T-T)
工場のスループットはボトルネックに左右される
ジムリン、ここでTOC理論をベースにおさらいしてみよう。
工場のスループットはボトルネックで決まる
まず「スループット」の意味を押さえておこうか!
スループットとは、「工場がお金を生み出す速度」のこと。
だから「どれだけ製品を出荷できたか」でスループットが決まるんだよ。
工場はお金を生み出さないと意味ないですもんね。
だから、スループットに注目して改善を図るべきってことですか?
うん。そして、工場の一番流れが悪いところ、つまりボトルネックがスループットを決めてしまうんだ。
以前砂時計の話をしたのを覚えているかな?

砂時計を工場に見立てると、一番細くなっているところがボトルネックですよね。
そうそう。その細い部分でスループットが決まるってことだね。
たしかに、この部分の細さが全体のスループットに影響を与えていますね!
ジムリンの工場の場合はどうかな?
たとえば、工場長への問い合わせが集中して判断が遅れると、全体の流れが滞るよね。
その結果、スループットはどうなる?
なるほど……。
工場長にタスクが集まるほどスループットに影響が出るってことなんですね。
ボトルネックは「弱点」ではなく「貴重なリソース」
さっきも言ったように、ボトルネックは弱点じゃない。
むしろ希少なリソースなんだ!
工場になくてはならない存在ですね!
だから「排除する」のではなく、「本領を発揮させる」ために工場の仕組みや業務への取り組み方を改善するのが重要なんだよ!
ボクは自分の言葉を振り返って、また反省しました。
「工場長がボトルネックです」という言い方は、まるで工場長が悪いみたいに聞こえます(T-T)
工場長は「工場にとって一番大切な存在」だから、タスクが集まっている。
そのことをまず伝えるべきでした……。
ボトルネックの本領を発揮させれば全体が効率よく改善する
ほかの工程をどれだけ改善しても、ボトルネックが変わらなければスループットは変わらないよね。
それだと意味がないわけ。
逆に言えば、ボトルネックが本領を発揮できるようになれば、工場全体の流れが一気に改善するってこと!
今回でいうと、工場長が本来やるべき仕事に集中できるようにするってことですよね?
だから、ほかの人ができることを工場長にやらせない仕組みが必要なのかも……。
いいね!ジムリン、わかってきているね!
コーさんに褒められて、少し元気が出てきました(T-T)
よし、もう一度、工場長のために何ができるか考えてみよう!
工場長に集中するタスクを仕組み化して流れを改善しよう
ボクは気をとりなおして、コーさんに手伝ってもらいながら、工場長に集中するタスクを整理するところから始めました。
工場長に集中するタスクを可視化してみる
ジムリン、まず「工場長がどんな仕事に追われているか」を洗い出してみよう。
はい!
とはいえ、「工場長がボトルネックだ」と伝えて怒られてしまったボク。
正直、工場長に直接話しかける勇気が出ません……(T-T)
気まずさを抱えたまま現場に顔を出すと、作業員の方から声をかけられました。
「ジムリンさん、昨日、工場長に何か言ったの?」
ボクは正直にすべてを話しました。
すると、作業員の方は苦笑しながら話し始めたんです。
「ああ、それは……。
前にシステムを入れたとき、工場長が全部入力作業を背負わされて大変だったんだよ。
社長の鶴の一声でね。システムを入れたら工場長の仕事も減るだろう!って。
でも、現場のことがわかってる人じゃないと扱えないからって、浸透するまでは工場長が管理することになって。
ほら、うちってITに強い人いないからさ。
で、結局工場長の仕事が増えただけで、そんなに効率化されてないんだよね……。
うちらも何かできないかな?と思ったんだけど、今の工場長って話しかけるだけでも負担そうじゃない?
会議の時間すら惜しいんだと思うよ。
仕事が減るといいながら結局負担が増えちゃったから、工場長からするとまた余計な提案をするのかと思ったのかもしれないね。」
それを聞いて、ボクはハッとしました。
工場長にタスクが集中していることなんて、みんなわかっていたんだ。
そしてきっと、これまでも社長から何とかしろって言われてきている。
そのたびに工場長が振り回されて、負担が増えてきた。
そういう経緯があったんです。
それなのにボクは……(T-T)
ボクはもっと工場長が感じている負担を知るため、あらためて工場長の1日の仕事を追いかけることにしました。
朝から観察していると、工場長のもとには次々と人が訪れます。
- 営業からの進捗確認電話
- 作業員からの判断依頼
- 購買からの在庫確認
- 社長からの納期調整の相談
休む暇もなく、対応に追われる工場長。
こうして見直すと、工場長が「情報の窓口」になっていてタスクが集まっていることがわかってきました。
情報を可視化すれば、工場長を通さなくて済む
観察を終えて気づいたのですが、工場長が対応していた問い合わせの多くは単なる「情報の伝達」だったんです。
「工場長を経由しなくても全員が必要な情報にアクセスできれば、工場長は本来の仕事に集中できるはず……!」
進捗や納期をシステムで共有すれば、営業も現場も直接確認できます。
ただ、このシステムに対して抵抗があるみたいなので、導入時のサポートが必要そうです。
「工場長が持っている情報を、みんなが見られるようにすればいいんだ!」
必要なのは情報の伝達をスムーズにする仕組み
ボクは確信しました。
「結局、工場長の負担は「情報を抱えていること」から生まれているんだ。」
だからこそ「進捗や納期をだれでも見られる仕組み」が必要です。
これまでもシステム化には挑戦しようとしていたけれど、すでにタスクが溢れている工場長が中心だから逆に負担になっていたはずです。
そこで、ボクの出番です!
ボクが、システムを作る中心に立てば工場長に新たな負担を与えず、現場の仕組みを少しずつ変えられるはず……!
そうコーさんに報告すると、ニコニコしながら言ってくれました。
よく気づいたね、ジムリン。
やってごらん!
はい!ボク、挑戦します!
こうして、最初のアプリづくりに挑むことになりました。
【教訓】ボトルネックの本領を発揮させるとは「本来の業務に集中できる環境を整える」こと
今回、ボクが学んだことをまとめます。
・工場のスループットはボトルネックに左右される
・ボトルネックは弱点ではなく、工場を支える貴重なリソース
・改善の第一歩は、ボトルネックが本来の業務に集中できるよう仕組みや環境を整えること
ボトルネックというと、「ボトルネックになっている人や機械が悪い」「排除しよう!」と思われがちです。
でも、ボトルネックになっている部分こそ、工場にとって重要なリソースなんです。
だから、その人や機械が本領を発揮できる仕組みを作ることこそが、工場の流れをよくすることにつながるんですね。
工場長が本領を発揮できるように、のびのび働けるようにするんだ!
その想いを胸に、ボクは初めての仕組み作りに挑戦します!(^^)!



