もしもシリーズ7話【原稿】

jimlins-confusion

こんにちは、ジムリンです!

前回、期待を胸に作った試作アプリを見せて回ったボクですが……「Excelの方が速い」「機能が足りない」と厳しい反応ばかり。

工場長も不安そうな顔で黙り込んでしまい、完全に自信をなくしてしまいました(T-T)

「ボクには無理だったのかもしれない……」

そんな絶望のなか、ボクを救ってくれたのは、工場長からの「たった一言」でした。

今回は、その一言からボクが気づいた「本当に大切なこと」についてお話しします。

諦めかけていたボクに工場長がくれた一言

試作アプリに厳しい反応をもらい、完全に自信をなくしたボク。

 

ボクには無理だったのかもしれない……。

 

そんな絶望を抱えたまま、翌日を迎えました。

会社に行くのも憂鬱だったボクが廊下をうつむきながら歩いていると、向こうから工場長が歩いてきました。

昨日の工場長の不安そうな顔が脳裏によみがえります。

 

気まずくて、顔を上げられません。

すれ違う瞬間、工場長が立ち止まりました。

「あの……ジムリン」

工場長が声をかけてきます。

ボクは思わずビクッとして、それでも顔を上げられずにいました。

工場長は、ぽつりと言いました。

「『電話しなくていい』ってのは、助かる。」

 

え?

 

その言葉は短いけれど、どこか温かみがありました。

 

あ……、ありがとうございます!

 

ボクが顔を上げて答えたとき、工場長は小さく頷いてそのまま歩いていきました。

 

わずかな希望を感じたものの、他の人たちからは厳しい意見ばかりもらったことを思い出します。

「結局、ボクはどうすればいいんだろう……」

このときは、まだ混乱していました。

なぜ、みんなの言葉はこんなに違うんだろう?

ボクは頭でごちゃごちゃ考えるのをやめて、一度腰を据えてみんなの言葉に向き合ってみることにしました。

まずは、デスクに戻ってメモ帳を開きます。

デスクでフィードバックを見比べてみる

そこには昨日集まった、みんなの意見がびっしりと書かれています。

▼同僚の声
・Excelの方が速い
・入力が面倒

▼上司の声
・在庫数も見られたら便利
・グラフで可視化して

▼購買担当
・誰が入力するの?
・負担が増える

▼工場長の声
・電話しなくていいのは助かる

 

なぜ、みんなの言葉はこんなに違うんだろう?

 

全員がバラバラのことを言っていますよね。

このうち、どの声を拾えばいいのか、何が正解なのか、ボクには分かりません……。

ジョーさんに壁打ち相手になってもらう

混乱したまま、ボクはジョーさんに相談しました。

 

ジョーさん、ボク、どうしたらいいんでしょうか……。

みんなの意見をどう整理すればいいのか分からなくて。

全部の要望に応えるのは無理だし、でも無視もできないし……。

 

ジムリン、君には、みんなの言葉がどう聞こえる?

 

え……?

 

もう一度、それぞれの言葉を思い出してごらん。

それぞれの言葉に「色」があるはずだよ。

 

色って、どういうことですか?

ジョーさんは、その質問に答えずにフッと消えてしまいました。

ただ、何かヒントを得られたような気がします。

 

色かあ。

よくわからないけど、これらの意見を色分けしてみようかな?

フィードバックの種類が違うことに気づく

ボクはもう一度メモを見返しながら、意見を分類してみることにしました。

・Excelの方が速い
・在庫数も見られたら便利
・グラフで可視化して

 

これらは全部「機能」や「道具」についての話だから、黄色にして……と。

 

電話しなくていいのは助かる

 

工場長の言葉だけ、色が違うかもしれないなあ。

これは「気持ち」そのものを言葉にしてくれているよね。

ピンクにしてみよう。

 

なるほど……。

これは、言葉の種類が違うんだね、ジョーさん!

同僚たちはアプリの「仕様(What)」を語っているみたい。

でも、工場長だけは自分の「気持ち(Why)」で言葉をくれたってことなんだ。

ボクの役割は「現場の気持ち」を「仕様」に翻訳すること

ハッとするボク。

 

ボクがやるべきなのは、全員の仕様に対する要望に応えることじゃない

現場の「気持ち」を汲み取り、それを解決するための最小限の「仕様」に翻訳してあげることなんだ!

 

今回、ボトルネックは工場長だった。

だから工場長の気持ちを最優先に考えたとき、もっとも必要な機能をkintoneに落とし込む。

これこそが、ボクの役割なんだ……。

そして、これならボクにもできることがあります!

これらに気づいたとき、ボクには新しい使命感が芽生えました。

前に進むための、たしかな自信と意欲を取り戻したボク。

ボクは立ち上がって、もう一度アプリを作り直すことを決めました。

「もう一度やらせてください。ただし……」

翌日、ボクは上司と同僚を集めて、宣言しました。

 

もう一度、アプリを作らせてください!

 

「え、また作り直すの?」

上司が驚いた顔をします。

 

はい。でも……

ボクは深呼吸して、続けました。

追加機能は一切つけません!!!!

工場長の「電話対応のつらさ」をなくす。

ただそれだけのアプリを目指します。

それこそが、今ボクがやるべきことなんです。

 

上司は戸惑い、同僚は不満そうな顔をします。

だれかが「それじゃ、我々の要望は無視なの?」と言いました。

 

無視はしません。

ただ、まずは工場長の課題を徹底的に解決します。

在庫数も、グラフも後からです。

まずはボトルネックを徹底的に解消するところからやるんです!

 

上司と同僚は、それ以上何も言いませんでした。

こうしてボクは、もう一度アプリづくりに挑戦することを決めました。

今度は、工場長の「気持ち」だけに集中して。

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