目次
改善したくても手が出せない「分断されたシステム」にDXのメスを
「必要な情報が別のシステムにあって、すぐに確認できない…」
製造現場では、kintoneに多くのデータが蓄積されています。しかし生産管理や在庫管理、品質管理用のデータが別々のシステムで運用される場合も多く、統一的なデータ連携を実現しづらい状況にある方も多いでしょう。その結果、部門ごとのデータが孤立し、業務の流れが阻害される原因となります。
たとえば、あるシステムでkintoneに登録したデータを別のシステムで使う際に、CSVを書き出す二度手間が発生します。この手作業が業務効率を大きく落とす一因です。

もちろん改善した方が良いのですが、分断されたシステムの統合や改善にかかる工数も大きいため、現場では「手作業の方が早い」と考える文化が根付きやすいです。その結果、なかなか改善に着手できない悪循環に陥ります。
本記事では、kintoneを起点に各システムを繋ぐワークフローを構築できる「n8n」を徹底解説します。n8nを活用し、kintoneに貯まったデータを余すことなく活用しましょう。

kintone×n8nでプラグイン非対応ツールも自動連携。部署・システムの壁を超えたデータ活用へ
n8nは、kintoneをはじめとした多様なシステムを連携させ、タスクを自動で実行する「ワークフロー」を構築できるツールです。ワークフローを構築することにより、これまで手作業で対応していたデータ連携をスムーズに自動化できます。

ワークフローのイメージ
n8nの特徴は「連携できるシステムの幅広さ」と「ノーコードで構築できる操作性」にあります。これにより複数システムをまたぐ作業を統一し、安定したワークフローを構築できます。また、n8nはセルフホスティングで運用できるため、機密性の高いデータも自社サーバー内で扱い、コストを抑えながら安全にデータを活用できます。

n8nの操作画面
n8nで作業を一元化したワークフローを構築することで、担当者が自分の手で改善を進められる環境を整えられます。この積み重ねが、部署・システムの壁を越えたデータ活用につながっていくのです。
n8nの特徴①:500種類以上のシステムと連携できる
n8nは公式に「500以上のアプリやサービスと連携可能」と明記されています。この連携の幅はkintoneよりも広く、さまざまなシステムを統合したワークフローを実現できます。連携方法には「公式ノード」と「HTTPリクエストノード」があり、用途に応じて使い分けられます。

「公式ノード」で主要システムと連携
SalesforceやTeams、Google Workspaceなどの主要なクラウドツールは、公式ノードで簡単に接続できます。担当者は決められた手順に沿って設定するだけで、即座にワークフローに組み込めます。

「HTTPリクエストノード」で公式ノードがないシステムとも連携
公式ノードが提供されていないツールでも、REST APIを利用して連携できます。REST APIはkintoneのプラグイン非対応ツールや会社ごとの独自システムにも対応できるため、現場で使い慣れたツールをそのまま自動化できます。

n8nの特徴②:複雑なワークフローでもノーコードで構築・運用できる
n8nは、ドラッグ&ドロップの直感的な操作でワークフローを構築できます。この操作性により、複数のシステムをまたぐ複雑な処理もノーコードで設計可能です。プログラミングの知識がなくても、高度な自動化を実現できます。
条件分岐やデータのループ処理、エラー処理などもGUI上で設定できます。たとえば、複数のアプリからデータを取得して結合し、良品や不良品といった条件に応じて処理を変更することもできます。
また、ワークフローは一度作成すれば再利用やコピーが可能で、導入後に業務フローに変更があっても迅速に修正できます。これにより、現場主導でPDCAサイクルを回す文化が定着しやすくなります。
n8nの特徴③:「セルフホスティング」によって安全にデータを活用できる
n8nの環境構築には、クラウド版とセルフホスティング版の2種類があります。この選択肢があるため、企業が重視するコストやセキュリティのニーズに合わせて運用方法を選べます。

クラウド版は導入が簡単ですが、月額料金が発生します。また、データはn8n社が管理するクラウドに保存されるため、セキュリティ面がネックになる可能性があります。製造業の機密性の高いデータを扱う際には、特に注意が必要です。
一方、セルフホスティング版は導入の手間がややかかりますが、料金は安価に抑えられます。そして、データを自社のサーバー内で管理するため、機密性の高いデータを外部サービスに渡すことなく運用可能です。これにより、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
n8nの利用にかかるコスト
セルフホスティングでn8nを運用する場合、基本ソフトウェアの利用料は無料です。しかし、n8nを実行するための機器に対しては費用が発生します。発生する費用の種類としては、主に以下が挙げられます。
- サーバー費用:VMやDocker環境など、n8nを実行するための環境にかかる費用
- データベース費用:ワークフローの履歴などを保存するためのデータベース費用
- キャッシュ費用:処理速度を上げるために利用するキャッシュの費用
- ストレージ費用:ログや設定ファイルなどを保管するためのストレージ費用
これらのインフラ費用は、利用するサービスや規模によって変動します。これらに加え、ワークフローの構築やメンテナンスを行うための人件費が発生します。クラウド版の月額費用と比較し、トータルコストが抑えられるか検討することが重要です。
部署・システムの壁を超えて、現場主導のデータ活用を実現しよう
n8nを活用すれば、kintoneに蓄積されたデータを、部署やシステムの分断を超えて必要な場所へ自動で連携できるようになります。これにより、データ活用の幅が大きく広がります。

n8nの強みは、kintoneよりも多彩なツールと連携できる点です。また、ノーコードで複雑な処理も直感的にワークフローに組み込めます。これにより、システム部門に頼らず、現場主導で業務改善を進めることが可能です。さらにセルフホスティングによって高いセキュリティを保ちつつ、安価に運用できます。
結果として、これまで負担となっていた手作業の削減と、全体の業務効率化を同時に実現することができるのです。
「なるべくコストをかけずに業務を効率化したいけれど、何から始めればいいのかわからない…」
そんな方は是非、n8nとkintoneを連携させて、DXを推進してみませんか?
最後に

株式会社アディエムでは、kintone × 生成AIで日々の業務改善に取り組んでいます。
今回ご紹介したようなワークフローの他にも、お客様の業務に合った改善をご提案させて頂きます。
無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。


