「業務を自動化したいけど、機密データをクラウドに上げるのは怖い」
製造業の現場では、こうした声をよく耳にします。
実は、n8nのセルフホスティングを使えば、機密データを社外に出さず、月額約3,000円で業務自動化を実現できます。
この記事では「セルフホスティング」に焦点を当て、製造業向けのメリットと導入方法を解説します。
目次
「n8n」って無料らしいけど、情報漏洩とか大丈夫?
「無料の自動化ツール」と聞くと、セキュリティが心配になるのは当然です。
一方で、有料のSaaSは月額費用が高く、稟議が通らないケースも多いでしょう。n8nには、この2つの課題を同時に解決できる「セルフホスティング」という選択肢があります。
無料ツールは怪しいけど、有料SaaSは高すぎて導入しにくい
製造業の現場では、顧客情報や原価データなどの機密情報を扱います。これらをクラウドサービスに預けることへの抵抗感は根強いものがあります。情報漏洩のリスクを考えると、簡単に外部サービスを導入できないのが実情でしょう。
一方、有料SaaSの料金体系も悩みの種です。多くのサービスは「ユーザー数×月額」で課金されます。5人で使えば5人分、10人なら10人分の費用がかかり、予算の見通しが立てにくいのが難点です。
この2つの壁を同時に解決する方法が「セルフホスティング」です。自社サーバーでソフトウェアを動かすため、データを外部に出さず、固定費だけで運用できます。
次のセクションでは、セルフホストに対応した自動化ツール「n8n」について解説します。
n8nは「自社サーバーで安全に動かせる」自動化ツール
n8nは、異なるサービス間のデータ連携を自動化するツールです。kintoneのデータを別システムに転送したり、外部サービスの情報を取り込んだりする作業を自動化できる仕組みになっています。
連携可能なサービスは700種類以上。ChatGPTやGoogle Geminiなどの生成AIも組み込めるので、単純な転記作業だけでなく、AIを活用した高度な自動化にも対応しています。
n8nの基本機能や活用例、料金体系の詳細は、別記事「【超入門】n8nとは?kintoneと生成AI連携のはじめかた」で網羅的に解説中です。
製造業なら「セルフホスティング」という選択肢がある
n8nには「クラウド版」と「セルフホスティング」の2種類があります。
クラウド版は、n8n社が運営するサーバー上で動作するタイプです。アカウント登録だけですぐに使い始められる手軽さが魅力でしょう。
ただし、ワークフローの実行時にデータがn8n社のサーバーを経由する点に注意が必要です。
セルフホスティングは、自社が管理するサーバー上で動作するタイプです。セットアップの手間はかかりますが、データは社内環境に留まります。
顧客情報や原価データなど、機密情報を扱う皆さんにとって、この違いは大きな意味を持つでしょう。
顧客・原価データが社外に送信されない、だから安心
セルフホスティングを選ぶ最大の理由は、データが社外に送信されないことです。
自社サーバーの中だけで処理が完結するため、第三者にデータを預ける必要がありません。機密情報を守りながら、業務自動化を実現できます。
会社のパソコンの中だけで動くから、データが漏れない
SaaSとセルフホストの違いは、賃貸住宅と持ち家の関係に似ています。
SaaS(クラウド版)は、いわば「借家」です。サービス提供元がサーバーを管理し、利用者はその環境を借りて使います。手軽に始められる反面、データは大家(サービス提供元)のもとに保管されます。
セルフホスティングは、いわば「持ち家」です。自分でサーバーを用意し、そこにソフトウェアをインストールして使います。管理の責任は自分にありますが、データは自分の手元に残ります。
ビジネスでは、顧客情報や原価データを第三者に預けたくないケースが多いでしょう。セルフホスティングなら、ワークフローの実行時もデータが社内サーバーの中で完結します。外部にデータを送信する必要がないため、情報漏洩のリスクを抑えられます。
在庫チェックや日報集計が多い工場ほど、月額固定の方が安くなる
クラウド版は使うほど高くなる、セルフホスティングは固定
n8nの料金体系は、クラウド版とセルフホスティングで大きく異なります。
クラウド版は、ワークフローの「実行回数」に応じて課金されます。Starterプラン(月額約3,300円)では月2,500回までが上限です。
上限を超えると、より高額なプランへの移行が必要になります。このため処理回数が読めない現場では、翌月の請求額が予測しづらいのが悩みどころです。
セルフホスティングは、VPS(仮想専用サーバー)の月額費用のみで運用できます。n8n自体は無料で、処理回数やユーザー数に制限はありません。月額3,000円程度の固定費で、処理回数を気にせず使えます。
料金プランの詳細は、別記事「【超入門】n8nとは?」の料金セクションで解説しています。ここでは、製造業特有の事情から見たセルフホスティングの優位性を説明します。
在庫チェック・日報集計・センサー記録で、1日の処理回数は数百件に
製造現場の自動化では、1日あたりの実行回数が多くなりがちです。以下のような自動化を行うと、タスク数はすぐに膨らみます。
- 在庫チェック:1時間ごとに実行すれば、1日24回
- 日報集計:全員分を毎日集計すれば、30〜100回/日
- センサー記録:数分ごとに記録すれば、数百回/日
クラウド版のStarterプランでは、月2,500回が上限です。上記の例では、センサー記録だけで1週間もたずに上限に達してしまいます。また、ユーザー数やプラン変更で費用が変動します。
これに対してセルフホスティングなら、5人で使っても20人で使っても費用は変わらず、VPSサーバーの月額料金のみです。
- VPS月額:約3,000円
- n8n本体:無料(Community Edition)
- ユーザー追加:無料(人数制限なし)
製造業のように「月間の実行回数が読めない」現場では、タスク数無制限のセルフホスティングが安心です。「来月の請求がいくらになるかわからない」という不安がないことは、予算管理の観点からも大きなメリットです。
ITに詳しくなくても、入力作業を自動化できる
「セルフホストは難しそう」「専門のエンジニアがいないと無理」。こうした不安を持つ方も多いでしょう。
しかし実際には、ExcelやGoogleスプレッドシートの関数が使えれば十分です。難しいのは最初のセットアップだけ。日々の運用は、ブラウザ操作だけで完結します。
Excel関数が使えれば、n8nの設定は自分でできる
世間では「セルフホストは難しい」「エンジニアがいないと無理」と言われがちです。しかし、この認識は誤解を含んでいます。
n8nの設定に必要なスキルは、Googleスプレッドシートの関数を使えるレベルで十分です。Excelマクロ(VBA)のような本格的なプログラミング知識は求められません。ノードと呼ばれるブロックを線でつなぐだけで、ワークフローを作成できます。
中小製造業のDX担当者であれば、「Excel関数は日常的に使っている」という方が多いはずです。そのスキルがあれば、n8nのワークフロー構築は十分に取り組めます。
無料ソフトを入れるだけで使い始められる
セルフホスティングの導入は、以下の4ステップで完了します。
- Step 1:Docker Desktop(無料)をインストール
- Step 2:コマンドプロンプトにコマンドを入れて、n8nコンテナを起動
- Step 3:ブラウザで http://localhost:5678 にアクセス
- Step 4:オーナーアカウントを設定
Docker Desktopは無料で使えるソフトウェアです。インストール後、コマンドを入力するだけでn8nが起動します。初期設定を含めても、30~40分程度で試運転を始められます。
一度セットアップが完了すれば、以降の操作はすべてブラウザ上で行えます。ワークフローの作成や編集、実行結果の確認など、日常の運用はブラウザ操作だけで完結します。
試した後は月3,000円のサーバーに移すだけ
ローカルPCでの検証後、本番運用にはVPS(仮想専用サーバー)への移行を推奨します。
ローカルPCでは、PCの電源を切るとn8nも停止してしまいます。24時間稼働が必要な本番環境では、常時稼働のサーバーが必要です。VPSなら月額3,000円程度で、安定した運用環境を確保できます。
外部からのアクセスが必要な場合は、SSL証明書の設定も行います。Let’s Encryptを使えば、証明書の取得は無料です。詳細な手順は、[n8n公式ドキュメント](https://docs.n8n.io/)で解説されています。
セルフホスティングでn8nとkintoneを安全に連携させよう
製造業にありがちな「データを外に出せない」「SaaSの費用は稟議が通らない」という課題は、セルフホスティングで解決できます。ポイントは以下の3点です。
- 機密データを守れる:セルフホスティングならデータが社内に留まる
- コストが予測できる:VPSの月額費用(約3,000円)のみで固定
- 導入ハードルが低い:Docker Desktopで30~40分あれば試用開始
まずはローカルPCで試し、使い勝手を確認してから本番環境への移行を検討してください。費用ゼロで試せるのがセルフホスティングの強みです。
n8nの基本・kintoneとの連携事例
n8nの基本をもっと詳しく知りたい方は、「【超入門】n8nとは?kintoneと生成AI連携のはじめかた」をご覧ください。n8nの基本機能・活用例・料金体系を網羅的に解説しています。
n8nとkintoneを連携させた活用事例は、以下の記事で紹介しています。
最後に
株式会社アディエムでは、kintone × 生成AIで日々の業務改善に取り組んでいます。
今回ご紹介したようなワークフローの他にも、お客様の業務に合った改善をご提案させて頂きます。
無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。















