1行ずつ手で貼りつけて3時間。試作品工場のExcelが「一品一様」から逃れられない理由

こんにちは、ジムリンです(^-^)
今回は、試作品を作る工場のExcelにまつわる話です!

先日、営業担当者の先輩が行うオンライン商談に同席する機会がありました。
お相手は試作品を専門に手がける工場の担当者さんで、テーマは「日程計画をExcelで管理する大変さ」についてでした。

正直、最初は「Excelでの管理が大変」なんて、どこの現場でもよく聞く話だろうと思っていました。
でも、話を聞いていくうちに、その大変さがボクの想像とはまったく違う理由から生まれていることがわかってきたんです。

基幹システムがあるのに、Excelの負荷山を毎回3時間かけて手作業で作り直す理由

商談が始まってすぐ、ボクには意外な光景が待っていました。

基幹システムにデータがあるのに、一から手で負荷山を貼り直す3時間

商談の最初、営業担当者が日程計画の作り方をたずねると、担当者さんはこう答えました。
作るのに3時間とかかかるんですよ」。

基幹システムにはすでに受注のデータが入っているのに、そこから工程ごとの負荷を示す「負荷山」というグラフを作るには、1行ずつ手で貼り付けていく必要があるというのです。

え、基幹システムにデータがあるなら、それをそのままコピーすればいいんじゃ……?

そこがポイントだよ

担当者さんは、その理由をこう説明していました。
案件が本当に一品一様なんです。同じ1台ずつでも、1時間で終わるものもあれば、1日がかりでやらなきゃいけないものがある」。

試作品を作る工場は、製品ごとに工程も工数もすべて異なります。
そのため、量産品のように「1台あたりの標準工数×台数」で計算する方法が成り立ちません。

基幹システムに入っているデータは、その「台数×標準工数」という形式なのに、試作品の現場にはそもそもこの形式が当てはまらないのです。
だから、そのままコピーして負荷山の形式に変換することができません。

なるほど……量産品と試作品って、そもそも『負荷の計算の単位』が根本から違うんですね。
だから、同じ工程管理でもコピーして使い回せる場合と、毎回ゼロから作らなきゃいけない場合があるんですね…。

それを知ったとき、ボクの中で1つの見方が変わりました。

その大変さの正体は「一品一様」という試作品工場だけの構造的な壁だった

Excelでの日程管理が大変なのは、担当者さんの工夫が足りないからでも、Excelの使い方が悪いからでもありませんでした
試作品工場のExcelが限界になるのは、工夫不足ではなく「一品一様」という構造そのものが原因だったんです。

その「一品一様」という特性は、日程管理の別の場面でも顔を出していました。

なぜ一品一様だと、Excelでの日程管理がここまで難しくなるのか

一品一様の現場では、特急案件が入ったときにも同じ壁にぶつかっていました。

特急案件が入っても、その案件だけを前に動かせない理由

先輩が「特急案件が入ってくると、これまで作ったExcelをリスケした方がいいというケースもありますか」とたずねると、担当者さんは前置きしたうえでこう答えました。

「本当それなんですよ、本当はそうしたいんですけど、1個ずつ全部崩れちゃう。手で後工程をずらしていったりすると、むしろそっちの方が時間かかっちゃうんです」。

その案件だけ、先に動かしちゃえばいいんじゃないんですか?

動かした瞬間に、何が起きると思う?

Excelの負荷山は、1つの案件を動かすと後ろに続くすべての工程がズレてしまう構造になっています。
しかも一品一様の現場では、案件ごとに工程の中身も所要時間もバラバラなので、ズレを手で直そうとすると、最初に計画を作るときよりも時間がかかってしまいます。

一品一様という特性は、日程管理だけでなく、現場のいろいろな場面にしわ寄せを及ぼしていました。

特急対応も、引き継ぎも、受注判断も――すべてがしわ寄せを受けていた

商談が進むにつれて、その影響は思っていたより広い範囲に及んでいることがわかってきました。

日程計画を立てられるのは、全社でたった1人だけ

先輩が「そのExcelを触る方は、担当者さんの他にいらっしゃるんでしょうか」
とたずねると、先方の担当者さんは

大きい負荷山のデータは私のみが今作ってる状態」だと答えました。
そして、こう続けました。
「私が休み明けに作業量が振り分けられてない、山盛りみたいなのはよくあります」。

引き継ぎのマニュアルを作れば、ほかの人でも対応できるようになるんじゃないですか?

マニュアルに書けることと書けないことがあるんだよ

一品一様の現場には、案件ごとに異なる条件を判断する共通の手順が、そもそも存在しません

工程の組み方も優先順位のつけ方も、案件によって毎回変わります。
判断には経験の蓄積が必要で、マニュアルという形に書き起こせないのです。

試作品の日程計画には、『こうやればいい』という決まった手順がそもそもないんですね……。
だから、引き継ぎたくても引き継げないんだ

他部門からの受注可否を、担当者の「感覚」で答えている

担当者さんは、他部門からの依頼への対応についてこう明かしていました。
「受ける受けないというのは、正直私の感覚頼りになってしまっています」。

キャパシティを超える場合はサプライヤーに外注することになり、費用もかさんでしまうといいます。

負荷山のExcelを見れば、空いているかどうかわかるんじゃないんですか?

そのExcel、いつの情報だと思う?

負荷山のExcelは、あくまで作成した時点の「予定」にすぎません。
実際にはリスケのコストが高いため、状況が変わってもすぐには更新されず、現実とどんどんかけ離れていきます。

だから、Excelを見ても正確な空き状況はわからず、担当者の感覚に頼らざるを得なくなるのです。

Excelの情報自体が、もう現実とズレてしまっているから、1人の感覚に頼らないといけないんですね…

うまくいかないのは工夫不足ではなく、試作品工場に共通する構造だった

今回の商談を通じて、ボクは1つのことに気づきました。
大変さの根っこにあったのは、担当者さんの工夫が足りないことでも、Excelの使い方が悪いことでもありませんでした。

「一品一様」という試作品工場ならではの特性こそが、その正体だったんです。
うまくいかないのは工夫不足ではなく、試作品工場に共通する構造だったんですね。

もし、日程管理がうまくいっていない感覚があるなら、それはあなたの工夫や手間が足りないからではないかもしれません。

判断の材料や経緯がその人だけに閉じずに、みんなで同じ情報を見ながら計画を立てられる仕組みがあれば、属人化も、感覚に頼った受注判断も、少しずつ変えていけるかもしれません。

そうした一品一様の現場に寄り添う生産管理システムとして、GROW工程管理という選択肢もあります。
自社の場合はどう変わりそうか気になった方は、ぜひGROW工程管理の個別相談会で話を聞いてみてください。

GROW process management

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