
製造業の会社がブログを書く理由は、意外と多い。
- 現場の改善事例やDX取り組みを発信して取引先・顧客に実績をアピールする。
- 技術者・現場スタッフの採用に向けて「うちの現場はこんな仕事をしています」を伝える。
- 展示会出展後のフォローとして、製品の詳細情報や活用事例を発信する
——やりたいことはあるが、なかなか続かない。
理由は「書く手間」と「公開する手間」の2つが重なるからだ。
「じゃあAIに全部書かせればいい」——実はそこに落とし穴がある。
AIだけが書いた記事は、Googleに評価されにくくなっている。
「誰が書いたか」「実際に経験した人が書いたか」が問われる時代になっているからだ。
答えは「AIに全部任せる」でも「人間が全部書く」でもなく、AIと一緒に書くことだ。
この記事では、人間がやるべき部分とAIに任せる部分を整理した上で、公開までを自動化する仕組みを解説する。
目次
結論:人間とAIの役割を分けて、「書く」と「公開する」のコストを両方下げる
まず全体像を示す。
- AIに任せていい部分:文章の構造化・文章化・Markdown整形・WPへの投稿
- 人間がやるべき部分:テーマの企画・実体験の提供・ファクトチェック・最終判断
graph TB
A["【人間】企画・テーマ決め"]
B["【人間】実体験・数字・現場の声を準備"]
C["【AI】構成案を作成"]
D["【人間】構成案を確認・補足"]
E["【AI】本文ドラフトを執筆"]
F["【人間】ファクトチェック・加筆"]
G["【AI】Markdown整形・GitHubにコミット"]
H["【自動化】GitHub Actions → WP下書き保存"]
I["【人間】最終確認・公開"]
A --> C
B --> C
C --> D
D --> E
E --> F
F --> G
G --> H
H --> I
style A fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style B fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style D fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style F fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style I fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style C fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style E fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style G fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style H fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
この役割分担を守ることで、EEATを担保しながら公開コストを大幅に下げられる。
公開の自動化は、MarkdownをGitHubのmainにマージするだけで、GitHub ActionsがWordPressに自動で下書き保存する仕組みだ。
AIに全部書かせてはいけない理由 — EEATとは何か
Googleが評価する4つの要素
EEATとは、Googleが検索品質を評価するための指標だ。
| 要素 | 意味 | ブログへの影響 |
|---|---|---|
| Experience(経験) | 実際にやってみた経験があるか | 最重要。実体験のない記事は評価されにくい |
| Expertise(専門性) | その分野の専門知識があるか | 業界特有の知見・技術的な正確さ |
| Authoritativeness(権威性) | 信頼される情報源か | 他サイトからの参照・著者の実績 |
| Trustworthiness(信頼性) | 情報が正確で誠実か | 事実確認・出典明示 |
特に「Experience(経験)」がポイントだ。
改善事例なら「実際に何が変わったか」「現場で何が起きたか」、採用ブログなら「実際の職場の様子」——これはAIには書けない。
AIが生成したコンテンツは、経験の裏付けがない薄い内容になりやすい。
読んでいると「どこかで見たような話」になる。
Googleはそれを評価しないし、読者も読み続けない。
人間が提供しなければならない「素材」
AIは「文章を作る」ことはできるが、「経験を持つ」ことはできない。
ブログに必要な人間からの素材は次の4つだ。
- テーマ・企画:何を・誰に・なぜ伝えるか
- 実際の経験・数字・現場の声:「○○という問題が起きた」「導入後、作業時間が30%減った」
- 専門知識の裏付け:業界特有の事情、自社ならではの知見
- 最終確認:事実確認・自社スタンスとのズレチェック
この素材をAIに渡して文章化させる——これが「一緒に書く」の実態だ。
「AIと一緒に書く」の具体的な進め方
書くプロセスの役割分担
graph TB
A["1. 人間:テーマ・実体験をメモ"]
B["2. AI:構成案を作成"]
C["3. 人間:構成案を確認・修正・補足"]
D["4. AI:本文ドラフトを執筆"]
E["5. 人間:ファクトチェック・加筆・調整"]
F["6. AI:Markdown整形→GitHubにコミット"]
A --> B --> C --> D --> E --> F
style A fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style B fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style C fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style D fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style E fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
style F fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
人間が「素材を出す」「判断する」ステップは省略できない。
ここを飛ばすと、経験の裏付けがないEEAT的に弱い記事になる。
CLAUDE.mdに「書き方のルール」を書いておく
Claude Codeを使う場合、CLAUDE.mdに記事のルールを書いておくと毎回指示しなくてよくなる。
# ブログ記事ルール
## 読者
製造業のDX推進担当者・現場改善を担う層
## 文体
です/ます調で統一
## 必須要素(全記事に含める)
- なぜやったか(目的)
- 何が起きたか(結果)
- 何が学びだったか(再現性)
- 業務にどう効くか(意味)
## 注意
自社の実体験・数字は必ず人間が確認・加筆する。
AIが生成した内容のまま公開しない。
AIはこのルールに従って文章を書くが、実体験の部分は人間が書き足す。
このひと手間がEEATの担保になる。
公開の自動化 — GitHub ActionsでWPに自動デプロイ
書いた記事を公開するコストを、自動化で下げる仕組みを解説する。
パイプラインの全体フロー
graph TB
A["article.md を書く"]
B["mainにマージ"]
C["GitHub Actions 発火"]
D["変更記事を検出"]
E["deploy-blog.js を実行"]
F["Markdown→HTML変換"]
G["画像をWPにアップロード"]
H["WP REST APIに投稿"]
I["WPに下書き保存"]
A --> B --> C --> D --> E --> F --> G --> H --> I
style A fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style B fill:#FFF3E0,color:#1a1a1a
style C fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
style D fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
style E fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
style F fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
style G fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
style H fill:#E8F5E9,color:#1a1a1a
style I fill:#E8F4FD,color:#1a1a1a
重要なポイントは投稿ステータスがdraftであることだ。
自動公開ではなく下書き保存——最終確認は人間が行う。
ファイル構成
リポジトリはこのように構成している。
content-blog/
├── .github/workflows/
│ └── deploy-to-wordpress.yml # GitHub Actionsの定義
├── scripts/
│ └── deploy-blog.js # デプロイスクリプト
├── config.yml # WP設定(投稿タイプ、ステータスなど)
└── monozukuri-ai/
└── BM-122/
└── article.md # 記事本文(Markdown)
記事はカテゴリ/BM-番号/article.mdというパスで管理する。
h1がWPの記事タイトルになり、本文はMarkdownをHTMLに変換して投稿される。
slugはディレクトリ名の小文字で自動決定(例:bm-122)。
既存記事があればupsert(更新)する。
GitHub Actionsのworkflowファイル
.github/workflows/deploy-to-wordpress.ymlの実装例だ。
name: Deploy Blog to WordPress
on:
push:
branches:
- main
paths:
- '*/BM-*/article.md'
- '*/BM-*/images/**'
jobs:
deploy:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- uses: actions/checkout@v4
with:
fetch-depth: 2 # 差分検出に必要
- uses: actions/setup-node@v4
with:
node-version: '20'
- name: Install dependencies
run: npm ci
- name: Detect changed articles
id: changes
run: |
changed=$(git diff --name-only HEAD~1 HEAD \
| grep -E '^[^/]+/BM-[^/]+/' \
| sed 's|^\([^/]*/BM-[^/]*\)/.*|\1|' \
| sort -u | tr '\n' ' ')
echo "articles=${changed}" >> $GITHUB_OUTPUT
- name: Deploy to WordPress
if: steps.changes.outputs.articles != ''
run: node scripts/deploy-blog.js
env:
WP_URL: ${{ secrets.WP_URL }}
WP_USER: ${{ secrets.WP_USER }}
WP_APP_PASSWORD: ${{ secrets.WP_APP_PASSWORD }}
CHANGED_ARTICLES: ${{ steps.changes.outputs.articles }}
pathsでarticle.mdが変更されたときだけ発火するよう限定している。
fetch-depth: 2は直前のコミットとの差分を取るために必要な設定だ。
変更されたBM-*ディレクトリだけを検出して処理するので、記事数が増えても無駄な処理が走らない。
Markdownの変換ルール
デプロイスクリプトはmarkedライブラリでMarkdown→HTML変換を行う。
主な変換ルールは以下のとおりだ。
| Markdownの書き方 | 変換後 |
|---|---|
| 通常のMarkdown記法 | HTML(markedライブラリで変換) |
```mermaid コードブロック |
<pre class="mermaid"> に変換(WPのMermaidプラグインと連携) |
ローカル画像  |
WPメディアライブラリにアップロードしてURLを置換 |
| YouTube URLを単独行に記載 | WPエンベッドブロックに変換 |
WordPress側の準備
必要な設定は2つだけだ。
- アプリケーションパスワードを発行する
- WordPress管理画面 → ユーザー → プロフィール → アプリケーションパスワード
- 任意の名前(例:
GitHub Actions)を入力して「新しいアプリケーションパスワードを追加」
- GitHub Secretsに3つの値を登録する
WP_URL:WordPressサイトのURL(例:https://example.com)WP_USER:WordPressのユーザー名WP_APP_PASSWORD:発行したアプリケーションパスワード
WordPress REST APIはデフォルトで有効になっているので、追加設定は不要だ。
GitHub Actions以外でも同様の仕組みは作れる
このパイプラインの本質は「変更を検知 → Markdown→HTML変換 → WP REST APIに投稿」の3ステップだ。
WP REST APIとアプリケーションパスワードがあれば、どのツールからでもWordPressに投稿できる。
| ツール | トリガー | 特徴 |
|---|---|---|
| GitHub Actions | gitのpush | コード管理と一体化、無料枠あり |
| n8n | Webhook、定期実行 | ノーコードで設定可能 |
| Zapier/Make | 各種サービス連携 | 非エンジニアでも設定しやすい |
Gitやコード管理に慣れていなければ、n8n+Google Driveのような構成でも同じことを実現できる。
「自動化の仕組み」よりも「WP REST APIで投稿できる」という事実が重要だ。
まとめ:人間×AIの役割分担表と、今日から始める3ステップ
人間とAIの役割分担まとめ
| 作業 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| テーマ・企画 | 人間 | 誰に何を伝えるかは人間が判断する |
| 実体験・数字・現場の声 | 人間 | AIには経験がない。EEATの根拠になる |
| 構成案・文章化 | AI | 素材さえあれば高品質なドラフトを作れる |
| ファクトチェック・加筆 | 人間 | 事実確認と自社スタンスの確認は人間の仕事 |
| Markdown整形・コミット | AI | 単純作業はAIに任せる |
| WPへの下書き保存 | 自動化 | GitHub Actionsが担う |
| 最終確認・公開 | 人間 | 最後の判断は人間が行う |
今日から始める3ステップ
Step 1:WordPressのアプリケーションパスワードを発行する
管理画面のユーザー設定から発行するだけ。
これでWP REST API経由での投稿が可能になる。
Step 2:GitHubリポジトリを作り、workflowを設定する
.github/workflows/deploy-to-wordpress.ymlを配置して、GitHub Secretsに3つの環境変数を登録する。
Step 3:人間が「素材」を出して、AIと一緒に書く
CLAUDE.mdに記事ルールを書いておけば、テーマと実体験をメモするだけでAIが構成案と本文を作ってくれる。
mainにマージするだけでWPに下書き保存される。
「人間は企画と経験の提供に集中する」
AIと自動化が整うと、担当者の役割が変わる。
文章化・整形・公開準備——これらをAIと自動化に任せられる。
担当者は「何をテーマにするか」「実際に何が起きたか」の企画と経験の提供に集中できる。
EEATを担保しながら、改善事例・採用・DX実績の発信を継続的に積み上げることが現実的になる。
AIを活用したコンテンツ自動化の導入相談は、アディエムまでお気軽にどうぞ。
参照元
- WordPress REST API Handbook
- GitHub Actions ドキュメント
- Google 検索品質評価ガイドライン(EEAT)
- marked — Markdown parser


