商談に同席していたジムリンは、帰り道でジョーさんにこうこぼした。
今日は、外注さんに発注している工場さんの商談に同席したんですけど……発注した時点で、工程の采配まで委ねてしまっているみたいなんです
それ、外注先が複数あるような現場だと、わりとよく聞く話かもしれないね
しかも、外注管理をすべて厳しくするんじゃなくて……もっと意外な絞り方をしていたみたいなんです
というわけで、今回は実際の商談で聞いた声をもとに、意外な結論までお届けします。
目次
外注先に発注した時点で、工程が見えなくなっていないか
外注5社を利用し、それぞれに「これだけお願いします」という数量ベースで発注する。この外注管理自体は、珍しいことではありません。
ただ、発注した時点で、外注先の工程は実質「リードタイムだけ」しか見えなくなります。何日で仕上がるかは分かっても、その工程がいまどこまで進んでいるかは分かりません。結果として、出荷がギリギリになる状況が生まれます。
「外注さんがやりやすいやり方で計画が組まれている感じで、自社側の納期の観点では組み立てられていない印象がある」という声は、まさにこの状態を言い表しています。外注先は外注先の都合で工程を組んでいるため、発注側の納期が最優先されるとは限らないのです。
外注5社を抱える現場で、工程がリードタイムだけになりやすい理由
発注時点で工程への割り付けを外注先に一任すると、依頼した数量以外の情報が自社に戻ってこなくなります。「いつまでに何個」という依頼だけが伝わり、それをどの順番でどう作るかは外注先の裁量に委ねられるためです。
「外注がボトルネックになり、出荷がギリギリ間に合うか間に合わないかという状況。外注側のネックとなる工程や能力を十分に把握できていない」という状態も、この構造からそのまま導かれます。
外注先が何社もあると、各社の設備数やどの工程が手薄になりやすいかまでは把握しきれません。把握できていない以上、コントロールのしようがないのです。

任せるか、任せないか。その二択ではありません
依頼さえすれば、あとは外注先の裁量で適切にさばいてくれるはず。多くの現場がそう考えて発注しています。
実は、外注管理は「任せるか、任せないか」の二択ではありません。
全部を管理下に置くのではなく、ボトルネック工程だけを「内製扱い」にする
外注先の全工程を一律に可視化しようとすると、情報量が増えすぎて運用が破綻します。5社分の工程をすべて追いかけるのは、現実的ではありません。
そこで有効なのが、ボトルネックになっている工程だけを選び、自社の計画の中に「内製扱い」として組み込む考え方です。それ以外の工程は、これまで通りリードタイムだけで扱います。
すべてを管理下に置くのではなく、影響の大きい工程だけを絞り込んで見る。この使い分けが、外注管理を可視化しコントロールを取り戻すための現実的な出発点になるのです。

本当に求めているのは、外注先を厳しく管理することではなく、コントロールを取り戻すこと
「外注さんがやりやすいやり方で計画が組まれている」という困りごとの奥には、外注をもっと強くコントロールしたいという能動的な欲求があります。外注先を厳しく管理することが目的なのではなく、求めているのは、自社の納期を軸にした計画へ組み込み直すことです。
なぜこの欲求が、拠点を任される立場にとって重要なのか
海外拠点は本社から距離があり、時差や言語の壁もあって、現場の細部まで日常的に目を配るのは簡単ではありません。だからこそ、外注先という「自社の目が届きにくい範囲」の状況を、必要なときに自分で説明できる状態にしておくことが、日々の生産統制に直結します。
「間に合いそうです」としか答えられない状態と、「この工程が詰まっているので、ここだけ社内で巻き取ります」と答えられる状態では、状況をどれだけ説明できるかがまったく違います。
現場の担当者にとっても、事情は変わりません。工程の状況が見えないまま出荷判断だけを求められると、外注先に聞き直す以外に確認のしようがなく、納期回答のたびに手が止まるのです。
常識的な対策(外注先に任せる)では、この欲求に届かない
「外注先に発注すれば適切にさばいてくれるはず」という常識的な対策のままでは、発注側は工程の状況をリードタイムでしか把握できません。コントロールを取り戻すという欲求には、これでは届かないのです。
発注側と受注側の適正な取引関係については、中小企業庁の受託適正取引等推進のためのガイドラインにも業種別の指針がまとめられています。
かといって、大掛かりなシステム刷新が答えとは限りません。こうした形で汎用スケジューラの導入を検討した工場の話もよく聞きますが、仕掛かり状態を取り込めず、既存システムとの連携も重くなりがちです。
結果として計画・実績の更新がタイムリーにできないまま、頓挫するケースが少なくありません。大掛かりな刷新もまた、この欲求には届かなかった一例です。
だからこそ必要になるのが、ボトルネック工程だけを内製扱いにするという使い分けです。全工程を作り直すのではなく、影響の大きい部分だけを組み込む発想であれば、過去に大規模なシステム導入で苦労した現場でも受け入れやすいでしょう。
任せきりだった工程を、ボトルネック工程だけ内製扱いに切り替えた事例
複数の外注管理の商談で共通して見られたのが、「外注先の工程を見ていきたいなら発想が逆になる」という気づきでした。
発注側が外注先の全工程を管理しようとするのではなく、基本的には内製扱いをしていく、という考え方への転換なのです。
こうした商談では、外注先の工程をボトルネック単位で洗い出し、その工程だけを自社の計画に「内製扱い」として組み込む、という進め方が共通して出てきます。それ以外の工程は、これまで通りリードタイムだけを見る形で残す、という切り分けです。
対象を絞ることで、「外注先の全部を見なければならない」という運用の重さから解放されるのです。
全社一括ではなく、効果の高い外注先から段階的に着手する
全社一括で切り替えるのではなく、まずは影響の大きい外注2社程度から段階的に着手するのが現実的でしょう。対象としない工程はリードタイムだけを見る形で残し、対象工程だけを内製扱いに切り替える。この切り分けを先方とすり合わせたうえで進めれば、無理なく運用に乗せられます。
内製扱いに組み込む先の生産計画自体がExcelで属人的に運用されている場合、計画そのものを作り直すところから始めるのは現実的ではありません。工程変更のたびに手直しが発生するExcel運用に、さらに全社分の切り替えを重ねると、負荷はむしろ増えてしまいます。
ここでも対象を絞る発想が有効です。切り替えるのはボトルネック工程だけなので、既存の計画には、その工程の追加転記から始められます。計画全体の作り直しを待たずに着手できる点は、ボトルネック工程を絞り込むという今回の考え方そのものと同じなのです。
「任せる」と「見える」は両立します
ボトルネック工程だけを内製扱いにするという使い分けを実践すると、「任せる部分」と「自社で見る部分」を使い分けられるようになるのです。外注先に任せている工程は、これまで通りリードタイムベースで進む一方、ボトルネックになっている工程だけは、自社の計画の中で状況を追えます。
「任せる」と「見える」は、対立する二択ではありません。両立させることで、外注先とのやり取りを増やさずに、コントロールだけを取り戻せるでしょう。
外注管理のBefore/Afterと、次の一歩
| Before | After | |
|---|---|---|
| 外注工程の見え方 | 依頼した数量以外は分からず、リードタイムだけが頼り | ボトルネック工程だけ自社の計画に組み込み、状況を把握できる |
| 出荷判断 | 「間に合いそうです」としか言えない | 詰まっている工程を特定し、社内での巻き取りも判断できる |
| 着手のハードル | 全工程を管理しようとして運用が破綻しがち | 効果の高い外注先・工程から段階的に着手できる |
GROW工程管理には、工程を内製工程・外注工程のどちらとして扱うかを個別に設定できる機能があります。ボトルネック工程だけを内製扱いに切り替える、という今回の考え方をそのまま運用に落とし込めるでしょう。
外注管理の見直しは、大掛かりなシステム刷新をいきなり検討する前に、まず絞り込んだ工程から試せるところに現実的な価値があるのです。
工場全体の負荷状況やボトルネック工程の見つけ方については、工場のボトルネック工程はどこ?人や機械に注目してタスクの滞留点を見つけようでも解説しています。
今回のケースだと、GROW工程管理の中でも、工程ごとに内製・外注を切り替えられる設定が、特に効いてきそうです
外注先マスタに登録した取引先を、工程ごとに内製工程・外注工程のどちらとして扱うかを個別に設定できます。全工程を一律に外注管理へ組み込む必要はなく、ボトルネックになっている工程だけを内製扱いに切り替えれば、それ以外の工程は引き続きリードタイムベースで管理できるのです。

自社の環境に合わせてどこまで内製扱いにするかは、GROW工程管理の詳しい機能を見るからご確認ください。



