こんにちは、ジムリンです!
前回、ボクは大きな決断をしました。
「今は工場長の声だけを聞く。追加機能は一切つけない!」
そう宣言して、背水の陣でアプリを作り直すことにしたんです。
でも、決めたからといってすべてが丸く収まるわけではありません。
今回は、ボクが直面した「システムは完成させて終わりじゃない」という、開発の本当の難しさと楽しさについてお話しします。
目次
一つ解決したら、また新しい要望が出てくる
工場長のために機能を絞り込んだアプリ。
「電話しなくて済むのが助かる」という工場長の一言を信じて、ボクは必死に画面を整えていました。
でも、ボクがデスクでkintoneを触っていると、案の定、現場から不満の声が上がりました。
ボクの元にやってきたのは、以前「Excelの方が速い」と言った同僚たちでした。
「ジムリン、本当に工場長のことだけで進めるつもり?」
「俺たちが言った改善要望は無視かよ。不公平だと思わない?」
「みんなの意見を聞くのが総務の仕事じゃないのかい?」
グサリ、と胸に刺さります。
みんなの要望も、決して間違っているわけじゃない。
もっと便利にしたい、楽になりたいという気持ちは痛いほどわかるんです。
あ、いえ、そんなつもりは……!
つい、いつもの弱気なボクが出そうになります。
でも、ここでまた「全部入れます!」なんて言ったら、せっかく見つけた「翻訳者としてのボク」は消えて、また以前の、誰の要望に応えればいいのか分からず迷走していた頃に逆戻りです。
それだと結局、誰の役にも立たない中途半端なシステムができあがってしまう。
でもみんなにとっては「順番待ち」のモヤモヤがあるのもわかっています。
これを、どうやって納得してもらえばいいんだろう……。
システムは「完成させる」ものじゃなく「育てていく」もの
ジムリン、いい顔になってきたね。
悩んでいるのは、一歩踏み出した証拠だよ。
君が今やっていることはね、「育シス開発(育てるシステム開発)」という考え方そのものなんだよ。
育シス開発……育てるシステム開発……?
システムはね、家を建てるように「完成させて終わり」じゃないんだ。
小さく始めて、現場と一緒に大きく育てていく。
それが、自社に本当に合ったシステムを作る秘訣なんだよ
なぜ「小さく始めて大きく育てる」のか?
ボクの「え?」という顔を見て、ジョーさんはホワイトボードの前に立ちました。
最初から全部作ると、自社に合わないシステムになる
もし、最初からみんなの要望を全部入れた「完璧なシステム」を目指していたら、どうなっていたと思う?
ジョーさんの問いに、ボクはこれまでの失敗を思い出しました。
開発に時間がかかりすぎて、いつまで経っても誰の手にも届かない。
機能が増えすぎて操作は複雑になり、本当に必要な機能かどうかもわからないまま作ってしまう……。
……きっと、完成する頃には現場の状況が変わっていて、結局誰の課題も解決できないまま捨てられてしまうかもしれません(T-T)
そのとおり。
完璧を目指すあまり、時間をかけすぎるのはシステム開発において最大のリスクなんだよ
一つ解決すると、次に本当に必要なものが見えてくる
でも、今回は一つに絞った。
その結果、どうなったかな?
工場長への電話という、最大の「タスクの滞留」に狙いを定めることができました!
そうだね。
一つの課題を解決してみると、工場全体の流れが少し良くなって、次にどこを改善すべきかが、より明確に見えてくる。
これが「育てる」ということなんだよ
小さく始めれば、環境の変化にも対応できる
製造業の「改善」と同じだよね。
一度改善して終わり、なんてことはないでしょ?
環境が変われば、新しい問題が出てきますもんね。
そのたびに、少しずつ形を変え、磨きをかけていく必要があります。
システムも同じ。
最初から100点を目指すんじゃなく、使いながら、対話し続けながら改善を重ねることで、使えば使うほど自社に馴染んだ、かけがえのないシステムに育っていくんだよ。
工場長の課題だけに絞ってスモールスタート!これからみんなでシステムを育てよう
ボクの中で、バラバラだったピースがつながりました。
ボクがやろうとしていたことは、育シス開発だったんだ!
自分の行動に確信を持てたボクは、深呼吸をして、まだ不満げな表情で待っている同僚たちのもとへ向かいました。
みなさん、お待たせしました。
たしかに、みなさんの要望も大切です。
でも、これを見てください!
ボクは、第2話でみんなと描いた「業務フロー図」を広げました。
この図を見ると、すべての業務の矢印が、最終的に工場長に集中していますよね。
だから、まず工場長の課題を解決することが、結果的にみなさんの仕事の滞りを解消する近道なんです。
ボクは落ち着いて、でも力強く言葉を続けました。
みなさんの意見を無視しているわけではありません。
今のシステムは、ようやく生まれたばかりの「種」の状態です。
順番に、一つずつ課題を解決しながら、みんなで一緒にこのシステムを育てていきましょう。
そうすれば、少しずつみなさんの負担も軽くなっていくはずです。
ボクの熱意と、何より「なぜ工場長が先なのか」というロジックに、同僚たちは顔を見合わせ、少し気圧された様子で呟きました。
「……まぁ、そういうことなら。一気に全部は無理でも、次は俺たちの番、頼むよ?」
もちろんです! 一緒に育てていきましょう!
ボクの力強い宣言に、現場に少しだけ、前向きな空気が流れた気がしました。
【教訓】まずはボトルネックに集中!自社の環境に合わせて少しずつシステムを育てよう
見事だったね、ジムリン。
君は「育シス開発」を、技術としてだけでなく、現場との対話として実践できたよ
今回ボクが学んだ「育シス開発」のポイントをまとめます。
・小さく始めることで、本当に必要な機能が見えてくる
・環境の変化に合わせて改善を重ねることで、自社に合ったシステムに育つ
・対話しながら一つずつ育てていく。それがシステム開発の本質
システム開発の本質は、プログラムを書くことだけじゃない。
現場の困りごとに寄り添い、少しずつ、でも確実に、みんなで一緒に「育てていく」ことなんだ。
前に進むための、たしかな自信を胸に。ボクの挑戦は、これからも続いていきます!



